会長挨拶

新たな半世紀への提言

日本熱測定学会のホームページへ,ようこそ!

 令和6年能登半島地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます.被災者の救済と被災地の復興支援のためにご尽力されている方々に深く敬意を表します.

 2024 年の年頭に当たり,会員の皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます.皆様にとって,活力に満ちた有益な一年であることをお祈り申し上げます.

 本会は,2023年に設立50周年を迎えました.  日本熱測定学会がこれまで発展してまいりましたことは歴代の会長はじめ会員の皆様のご尽力・ご業績の賜であり,あらためまして敬意を表します.

 そして2024年,本会主催の熱測定討論会は第60回,還暦を迎えます.本年度は,これまでの本会熱測定討論会の60年間の活動を総括するとともに,その先の未来を見据えた活動を行ってまいります.たとえば,本会の今後取り組むべき項目を以下に集約し,会員の皆様と議論を尽くすことで,本会の「10年後の姿」を描いてみたいと思います.

  1. 学会の情報発信の整備
  2. 会員の研究活動の支援
  3. 産業ならびに一般社会への貢献
  4. 新分野・萌芽的分野の積極的育成
  5. さらなる国際連携活動の推進
  6. 会員の多層化,多様化の推進

その上で,本年度を新半世紀の基礎固めの年と位置づけ,取り組みの重点を以下におきたいと思います.

(1) 学術活動の充実に向けた取り組み

 現代社会はエネルギー問題や環境問題をはじめとして様々な課題を抱えており,熱測定に求められることも高度化・複雑化しています.これらのことに対応するために,本会は学術団体として学術活動をより一層充実させていく必要があります.イノベーションの創出と実現には,ますますの技術の融合化,学際化が不可欠となります.本会で学術の中心を担うのは熱測定討論会,学会誌熱測定,グループ活動,ワークショップ・講演会活動です.今後のイノベーションをリードする十分なポテンシャルを有しており,会員の皆様のご意見をいただきながら,より幅広く,かつ深化すべく,各々の役割や位置付けを確認するとともに,新たな飛躍のための検討を進めてまいりたいと思います.

 学会誌の充実は,本会の学術の発展にとって不可欠であります.昨年度までに,J-Stageへの登載が完了しましたが,掲載論文の価値の向上や社会的インパクトの向上策について引き続き検討を進めます.

(2) 会員にとっての魅力ある学会に向けての取り組み

 本会は,熱測定に関わる学究的環境と産業界で働く専門家の集団であり,本会が活力のある組織であるためには,本会の学究的な活動と産業界の活動の連携を促す機能が十分に活かされるよう,会員が互いに研鑽し,連携・協力することが必要です.会員相互の交流の場を,さまざまな機会を通じて,より積極的に創出したいと思います。

 本会の将来の発展には若手会員の積極的な活動が不可欠です.若手会員によるイベントの提案や実施を奨励し,経験や年齢にとらわれず,若手の会員が存分に活躍できる素地を形成してまいりたいと思います。

 本会がさらに世界から注目される活動を行うことも重要です.効果的な情報発信や国際連携の推進,国際会議の開催などを積極的に行っていくことに加えて,留学生や国内の外国籍の研究者・技術者に対する魅力の向上も必要です.本会に関連する主たる国際会議への若手派遣や,国際学会賞への会員推薦などを強化してまいります.

(3) 本会の活動に対する共通理解の醸成

 日本熱測定学会の拠って立つ,化学熱力学,熱科学,熱測定技法開発をベースとする基礎理工学研究は,現代社会の直面する諸問題を解き明かす際の正攻法のひとつとして,貢献できる可能性があると思います.会員の皆様が学会活動を通じて充実感や満足感を得られることを何よりも大切に,共に共通の理解の醸成を目指したいと思います。ご支援を賜りますようお願いいたします.

日本熱測定学会会長 森川淳子