第40回熱測定ワークショップ

第2回熱分析基礎講座：DSCの講義と演習


－高分子・ゴムを中心に現場技術者の熱分析基礎知識・技術の習得へ向けて－


　
熱分析は，実用材料の熱的特性の評価から，新しい材料の基礎物性研究まで広い領域で使われている実験，分析手法です。汎用性，実用性の高さゆえに最近の熱分析装置はブラックボックス化し，専門的知識や技術が不十分でもコンピュータ等により，誰にでも簡単に操作できるようになっています。しかし一方で，実際に熱分析を正しく行うには，その原理や解析方法，データの取り扱いについて注意しなければならない基礎的事項がたくさんあります。こうした基礎事項に関する認識が欠けているために誤ったデータを取り，間違った解釈をしてしまう可能性も少なくありません。 大学等の教育機関においても，必要不可欠な基礎知識・技術をまとめて習得する機会はそれ程多くありませんし，企業等においては効率化が念頭におかれ，現場レベルでのノウハウ，基礎知識・技術の習得に充分な時間を割けないのが現状です。材料の複雑化と装置の高度化によって，今後益々高い分析レベルが要求されるようになる中で，しっかりとした基礎事項に立脚した測定技術，解析方法の習得が熱分析の技術者には求められています。 本講座は現場で働いている熱分析技術者に必要不可欠な基礎知識・技術を習得してもらうことを目的に，日本熱測定学会の標準化作業グループが中心となって企画いたしました。演習を取り入れた実践的な講座であり，実際に様々な研究，測定を行っている経験豊富な講師陣がノウハウを含めて丁寧に解説いたします。今回で第2回目を迎えますが、前回ご好評を頂いた講義と演習内容を踏襲し、JIS等の公定法が多く制定されている高分子・ゴムを主な対象に，DSCを中心とした熱分析の基礎技術を習得していただきます。短期間での習得を目指す研究者の方を始め，日頃の疑問や課題を解決したい技術者の皆様など，多数のご参加をお待ちしております。奮ってご参加頂けますようよろしくお願い申し上げます。なお，受講者には本学会より修了証を発行します。


　
主催：日本熱測定学会（企画：標準化作業グループ） 後援：産総研NMIJ固体熱物性クラブ 日時：2007年6月27日(水)（10時00分～17時00分） 会場：産業技術総合研究所　秋葉原サイト （東京都千代田区外神田1-18-13ダイビル11階1101会議室） アクセスは，http://www.aist.go.jp/aist_j/guidemap/tokyo/tokyo_map_main.html をご参照ください。


＜プログラム＞ 10:00～10:10：開会の挨拶と趣旨説明 （産業技術総合研究所・計測標準研究部門）　加藤英幸 10:10～11:30：高分子の熱分析の基礎（解説と演習） （首都大学東京・大学院都市環境研究科）　吉田博久 １．高分子の特徴 ２．融解 ３．結晶化 ４．ガラス転移 ５．DSC装置の構造と温度制御 11:40～13:00：DSCの原理とデータの取り扱い（解説と演習） （ソニー学園湘北短期大学・情報メディア学科）　小棹理子 １．DSCベースラインの意味 ２．ピークの意味，吸熱と発熱 ３．ピーク形状の意味 ４．データの取り扱い（転移温度，ΔH, 比熱容量） 13:00～14:00：休憩 14:00～16:30：測定の実際とゴムとプラスチックのJIS（解説と演習） （神奈川大学・理学部化学科）　西本右子 １．測定の準備（校正，サンプリングと容器の選択，測定条件の決め方） ２．ゴムとプラスチックの熱測定のJISとISO ３．JIS K 7121 プラスチックの転移温度測定方法 ４．JIS K 7122　プラスチックの転移熱測定方法 ５．JIS K 7123　プラスチックの比熱容量測定 16:30～17:00：総括 （産業技術総合研究所・計測標準研究部門）　加藤英幸 ※ 各講義は演習を含みますが，実習は行いません。