−初心者のための熱分析の基礎と応用−
会 期:講議 1999年1月27日(水),28日(木),実習 29日(金)
会 場:かながわ県民活動サポートセンター
(横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2 かながわ県民センター内)
主 催:日本熱測定学会
協 賛:日本化学会,日本分析化学会,日本原子力学会,資源・素材学会,高分子学会
, 日本農芸化学会,応用物理学会,化学工学会,近畿化学協会,石油学会,繊維学会
,
炭素材料学会,日本油化学会,日本金属学会,日本結晶学会,日本鉱物学会,
日本ゴム協会,日本材料学会,日本脂質生化学研究会,日本食品科学工学会,
日本食品保蔵科学会,日本生物物理学会,日本セラミックス協会,日本生化学会,
日本生物工学会,日本蛋白工学会,日本鉄鋼協会,日本熱物性学会,日本粘土学会,
日本表面科学会,日本バイオマテリアル学会,日本物理学会,日本薬学会,
日本冷凍空調学会,廃棄物学会,プラスチック成形加工学会,日本家政学会,
日本調理科学会,日本液晶学会(順不同,予定)
参加のおすすめ
今日,熱分析は食品・医薬品・生体材料・電子材料・液晶・プラスチック・繊維・金 属・ファインセラミックス・複合材料など多方面において,研究・開発・品質管理・検 査・工程管理の場で広く活用されております。現在の熱分析機器は,コンピュータを含 めたハードウエアとソフトウエアの両面からの急速な進歩を遂げ,測定精度・操作性な どの点において飛躍的な向上が見られます。しかしながら,測定の目的に適合した信頼 性の高い測定結果を得るためには,サンプリングの方法,測定原理,装置の構成,その 利用の基本的なノウハウを含めた熱測定・熱分析法についての理解が必要となります。 さらに,測定結果の解析においては,解析法の選択や解析結果の解釈などに関する正し い知識が要求されます。
本学会では,これから熱分析を始めようとされる方,装置は買ったが使い方や得られ
たデータの解釈など,活用が十分でないとお考えの方を対象にして,1976年以来,毎年
1〜3回の熱測定講習会を実施しており,ご好評いただいております。本講習会では,熱
分析の基礎から種々の研究分野での応用まで,熱分析の種々の場面で役に立つ講習を各
分野の御専門の先生方にお願いいたしました。第1日目には,「熱分析の基礎と測定法
」について,第2日目には,「熱分析の応用」について講演いただきます。また,第3日
目には,「熱分析機器による実習」として種々の実習テーマを用意し,実際に熱分析機
器を使用しながらその使用法と測定結果の解析の実際を学習していただく機会を設けて
おります。今回は,温度変調DSCを用いた測定がかなり普及してきたことを考慮して,
温度変調DSCに関する講義と実習を新たに設けました。また,TMAの実習も新たに設けて
います。テキストは各担当講師執筆によるものを使用いたします。また,サブテキスト
には,本学会が編集した「熱量測定・熱分析ハンドブック(丸善)」(1998年8月発行)
を使用いたします。第1日目と第2日目には,分析機器関連メーカー各社のご好意により
,最新の市販熱分析機器によるデモンストレーションを行います。前回好評いただきま
した「個別相談」のコーナーでは,このところ毎回行っているので,ご好評をいただい
ております。質問事項を事前にいただけば,より的確な解決策を提示することができる
と思います。講習会の参加申込書に同封していただくか,講習会初日に質問書を提出し
て下さい。また,解釈が困難な測定結果をお持ちの方は,当日持参されることを強くお
すすめします。多数の方々のご参加をお待ちしております。
日本熱測定学会 企画幹事
1月27日(水) 熱分析の基礎と測定法
9 : 25〜 9 : 30 開会のあいさつ
9 : 30〜10 : 30 1)熱分析における熱力学 東京工業大学 川路 均
1. 融解,相転移の熱力学
2. ガラス転移と熱力学
3. 化学反応,熱分解の熱力学
10 : 40〜11 : 40 2)DTA, DSCの原理と測定法 神奈川大学 西本右子
1. DTA, DSCの原理と測定法
2. DTA, DSC曲線の理解
3. 装置の校正
4. 測定法の工夫と注意事項
5. その他のDSC
6. DTA, DSC測定からわかること
11 : 40〜12 : 30 昼 食
12 : 30〜13 : 10 デモンストレーション(装置メーカー)
13 : 20〜14 : 10 3)TGの原理と測定法 広島大学 古賀信吉
1. TGの原理
2. 装置の校正
3. TGの測定条件と注意事項
4. TG曲線の解析
5. TGの理想と現実
14 : 10〜15 : 00 4)TG(DTA)-MS同時測定法 福井大学 伊佐公男
1. 発生気体分析
2. TG-MS法の原理
3. TG-MS法の歴史
4. TG-MS法の応用例
5. TG-MS法の今後の課題
15 : 10〜16 : 00 5)TMA, DMAの原理と測定法 東京都立大学 吉田博久
1. TMA, DMAの原理
2. TMA, DMAの測定と解釈
16 : 00〜17 : 00 6)サンプリングの諸注意
1. DSC (真空理工)
2. TG-DTA (マック・サイエンス)
3. TMA (パーキンエルマージャパン)
4. DMA (ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン)
1月28日(木) 熱分析の応用
9 : 30〜10 : 10 7)熱分析の高分子への応用 大妻女子大学 畠山立子
1. 融解,平衡融点
2. 結晶,高次構造
3. 結晶化の動力学
4. ガラスの緩和
5. 低分子・高分子相互作用
10 : 10〜10 : 50 8)熱分析のバイオテクノロジーへの応用 理化学研究所 上平初穂
1. DNAの熱変性
2. タンパク質の熱変性
3. 固定化酵素の熱安定性評価
11 : 00〜11 : 40 9)熱分析の医薬品への応用 千葉大学 小口敏夫
1. 多形の熱分析
2. 溶媒和物の熱分析
3. 非晶質固体の熱分析
4. 薬品と添加剤との相互作用の解析
5. 凍結乾燥製剤設計への応用
11 : 40〜12 : 30 昼 食
12 : 30〜13 : 10 デモンストレーション(装置メーカー)
13 : 20〜14 : 00 10)熱分析の無機材料への応用 千葉大学 稲場秀明
1. 熱容量および熱膨張率測定の無機材料への応用
2. 熱伝導率測定の無機材料への応用
3. TG-DTA, DSCの無機材料への応用
14 : 00〜14 : 40 11)温度変調DSCの原理と測定法 京都工芸繊維大学 猿山靖夫
1. 測定原理
2. 特長
3. 測定条件の選び方
4. 結果の解釈
14 : 50〜15 : 40 12)熱分析の食品への応用−嚥下障害者および高齢者に向くゲル状食品の構造と機能 静岡大学 渡瀬峰男
1. 嚥下のメカニズム
2. 食塊の嚥下誘発と嚥下反射の関係
3. 嚥下開始食としてのゼラチンゲルの構造と機能特性
4. 嚥下食の基盤としてのゲル状食品の分子量,側鎖基などの影響
5. 流動食などの動的粘弾性
15 : 40〜17 : 00 13)個別相談 講師,装置メーカー
1月29日(金)熱分析機器による実習
9:30〜15:00 実習課題の説明と実習(AからFのうち1課題を選択)
(A)高分子の熱分析 大妻女子大学 畠山立子
1. ポリスチレンのガラス転移
2. ポリエチレンテレフタレートの相転移
3. ポリプロピレンの等温結晶化
(B)温度変調DSCを用いた熱分析 京都工芸繊維大学 猿山靖夫
1. 試料作成上の注意
2. 測定条件の適否の判断
3. 実測データの検討
(C)状態図の作成 早稲田大学 山崎淳司
1. DSC曲線と状態図
2. DSCの温度較正と熱量較正
3. 代表的な2成分系状態図の作成
(D)タンパク質の熱安定性 相模中央化学研究所 城所俊一
1. タンパク質の熱容量の測定法
2. タンパク質の熱容量の解析法 I. 2状態解析
3. タンパク質の熱容量の解析法 II. デコンボリューション法
4. タンパク質の熱容量の解析法 III. モデルフィッティッグ法
(E)熱分析による速度論的解析 広島大学 古賀信吉
1. 固相反応速度論
2. 熱分析曲線の速度論的解析法
3. 速度論解析における注意事項
4. 速度論的パラメータの意義
5. 固体の熱分解反応の速度論的解析
(F)TMAによる熱分析 神奈川大学 西本右子
1. TMA測定の際の注意事項
2. 装置の校正と測定条件の決定
3. 高分子試料のTMA測定
15:00〜16:00 実習に関する個別質問(講師・装置メーカー)
16:00 閉会
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